2024年7月10日・11日・12日に東京ビックサイト東展示場で行われている「国際モダンホスピタルショウ」の展示会に参加しましたので備忘録として記載します。
今年はほぼDX一色に
病院を中心とした設備や機器、材料に関する展示会というイメージがありましたが、昨今のDX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流もあり、どんどんとIT企業の占める割合が増えています。
そのため、公式WEBサイトのイメージも次のようになっています。
国際モダンホスピタルショウ2024WEBサイトより引用
運営側も医療IT系の企業を中心にした出展者をメインに確保するような方針が見て取れます。
下の会場マップを見ると、今年に関しては300以上ある出展者のうちその8割程度はICTに関わる企業という印象です。
会場マップより引用
青色が「医療情報システム」のジャンルの企業ブースになります。
今年のキーワードは「サイバーセキュリティ」「医療介護連携」
2022年に大阪急性期・総合医療センターがランサムウェアの被害を受け電子カルテが動かなくなった話は大きなニュースとなりました。それ以前にも徳島県つるぎ町立半田病院のランサムウェア被害や患者情報流出は記憶に新しいでしょう。
医療機関の診療録の電子化が進むことでこのようなサイバー攻撃が爆発的に増えているということでしょう。そのための対策としてサイバーセキュリティ企業は医療業界をビジネスチャンスと見ているようです。
また、医療と介護の情報連携もトレンドとなっており、コミュニケーションツールや紹介状や検査情報などのデータを共有するツールもよく見られました。地域包括ケアシステムを進める上では必要になってくる仕組みでしょう。
サイバーセキュリティ
など、サイバーセキュリティの展示を行っている企業は10以上はあったと思われます。
今回学んだこととしては以下のようなものがあります。
閉鎖ネットワークの電子カルテ端末でインターネットを利用できる仮想ブラウザ
病院の電子カルテは不正アクセスを防止するために閉鎖的なネットワークで構築されていることは多くあります。しかし、電子カルテ端末をインターネットに繋げないことで、予約システムが見れない、調べ物が出来ない、データを送れないなどの不便さも発生します。そのために別ネットワークに繋がった別端末を追加するようなことも行われたりしますが、これでは便利性を大きく下げてしまします。
そこで使われる手法が仮想ブラウザです、電子カルテとは別ネットワーク(インターネット接続可)の専用サーバからインターネットに接続し、その画面を電子カルテ端末に投影するというものです。
あたかも電子カルテ端末でインターネットを利用しているような形で、電子カルテネットワークは物理的に閉鎖されているという環境が実現します。
保守用のVPNの脆弱性が狙われている
システムを導入するとシステムの会社が遠隔サポートを行うことが多くあります。この遠隔サポートで利用する際にVPNという専用の通信経路を使います。
このVPNに脆弱性があると、ここを標的にしてサイバー攻撃がなされることが多くなっています。
そのためVPNを最新の状態に保つことが求めれます。
しかし、VPNを含め様々なシステムが端末ごとに最新の状況であるか把握するのは困難でしょう。そのため、一括で管理を行うセキュリティシステムなどの展示がされていました。
医療介護などの多職種連携ツール
2024年の診療報酬改定、介護報酬改定ではそれぞれに多職種の連携のためのコミュニケーションツールを利用することで加算が付くようになりました。
この流れを受けて、次の展示会ではさらにこの分野の出展が増えることが想像されます。
コメント