【書評】新時代の病院マーケティング: 患者様との絆を深め、新たな紹介を獲得する戦略 川井治之

書評 新時代の病院マーケティング: 患者様との絆を深め、新たな紹介を獲得する戦略 川井治之 営業/マーケティング
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著者情報

川井治之

岡山済生会総合病院のがん化学療法センター長・特任副院長、がん薬物療法専門医・指導医、公認心理師。禁煙専門医。
「禁煙センセイ」を認知してもらうためのマーケティング・ブランディングの経験を、病院の広報に活かしています。

概要

本書著者は医師ではありますが、病院広報プロジェクトのリーダーを担っています。

マーケティングを学びながら、どれだけ優れた医療を提供していても、それが認知されなければその意義は半減し、集患にも繋がらないということを記しています。

そして自身では禁煙センセイとしてマーケティング・ブランディングを行っています。

また、本書籍の多くは生成AIを用いて作成されているということです。

これだけの体系化された本書を作成するためのプロンプトの工夫や、学習させた内容について興味が湧くところです。

ただ、一部、特典プログラムや紹介プログラムについての記述については生成AIらしく漏れなく記載しているなと思いましたが注意が必要でしょう。日本の病院のほぼ全てが保険診療を行っており、広告規制も含めて適さない点であるため、完全に鵜呑みにするのは危険と言えます。

本記事では他著書ではあまり触れられていないものの、現実的にはとても重要であると考えられる手法を抜粋して記します。

内部マーケティング(インターナルマーケティング)

医療は人が提供するサービス業であるため、スタッフのモチベーションやチームワーク、病院のビジョンや方針などは患者さんへのサービス品質に直結します。

そのため、職員満足度を高めることが重要となります。

職員満足度を高めるためには、以下のことが重要になります。

コミュニケーションの向上

職員同士や管理職との意見交換を活発化させ、組織でのオープンなコミュニケーションを促すことが重要です。

【本記事著者より一言】

多くの書籍を拝読し、様々な方法で職員満足度を向上させる試みが行われていることを認識していますが、結果的にはオープンなコミュニケーションができるかどうかが成功への大きなウェイトを占めていると感じます。

その他

教育や研修の充実、職場環境の改善(休憩スペースの整備、適切な労働時間管理、福利厚生を充実させるなど)など全部で10項目が挙げられています。

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ブランドタッチポイント

消費者(病院では患者さんや家族)がサービスと接触する全てのポイントのことです。

ブランドタッチポイントは広告やWEBサイト、SNS、看板、サービス内容、外観など様々な形で表現されます。

ブランドタッチポイントで消費者はブランド体験を形成するため、タッチポイント全体で一貫したブランドメッセージを伝えるために綿密に管理する必要があります。

【本記事著者より一言】

ロゴやイメージカラーの統一、核となるメッセージの統一を行いましょう。

多くの病院は「色々できるから」と言って、様々なアピールを試みますが、この情報過多時代においては記憶に残らず埋もれてしまうだけです。

自院の強みを一貫して出すことが重要でしょう。

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治療計画のスケジューリングを患者に伝える(カスタマージャーニーより)

カスタマージャーニーとは患者さんが病院を認識してから、予約、受付、診療、会計、フォロアーアップの全課程を言います。

その中でも「予約と治療」の部分において、治療計画のスケジューリングを患者に伝えるのは忘れてしまったり手を抜いたりしがちですが非常に重要なことです。

【本記事著者より一言】

患者さんは不安な気持ちで来院しています。

不安な気持ちは体がどうなるか分からないという「未来の悩み」が多くを占めるため、未来を現実に引き戻してあげるためのスケジューリングが不安の解決に役立ちます。

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まとめと感想

生成AIらしく、病院マーケティングの手法については、抜けが無く網羅的にできていいます。一方で、突っ込んだ事例の記載はありません。

ですので、病院マーケティングの手法についてもれなく知っておきたい方は読んでおくことで体系的にもれなく病院マーケティングについて把握することができると思われます。

本書を読んで気になった項目に対し、実例を記した書籍や記事を読むことで、より深堀りや実践ができるものと思われますので、ある意味「目次がわり」として利用してよいかと思います。

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